行った作業(仕事)の量が給料やお金になると思っていると妙な勘違いをしちゃわない?

公開日: 22:11 考えたこと 司法書士 社会

結構前の記事の話で申し訳無いんだけれども、しばらくモヤモヤしていたので書くことにします。



中小企業の8割は低賃金の差額で正社員の給料を払っている。ー散るろぐー



ってブログエントリを読みました。

ものっすごく端折って言っちゃうと「パートでも正社員でも経営者でもやってる作業は同じなのにパートさんだけ給料低くて、その差額で正社員や経営者は潤っている」っていう内容でした。

もっと正確な表現を確認したい人は元記事をご確認ください。


まぁ、言いたいことはわからんでもない。そう見えてしまう事もあるんだろうなー。って思うんだけれど、記事の反響でも同調しているようなのが多くてマジか!?って思ったのでちょっと所感を書いてみようと思ったのです。




・司法書士のやっている「作業」は事務員さんと変わらないよ



前述の記事の主張を司法書士業で置き換えてみます。


私が司法書士をやっているってーのもあるんですけれども、司法書士業って業務とかお金の流れが単純なので凄くわかりやすいと思います。


司法書士のやってる業務でメインとなるものに「不動産の名義変更手続き」ってーものがあります。


誰かが土地とか建物とかを売って、誰かが買うときに土地の名義を売主さんから買主さんに変えるって手続きですね。それで売主さん買主さんからお金をもらいます。


依頼があって、それがうまく行ったら報酬。っていう至極簡単な形態。当事者以外には間に人を介在させることが少ないのでとても単純です。


この手続のために司法書士は書類を作成するという仕事をするんですけれども、最近はソフトが良く出来てて定型的なものならパートの人でも出来ちゃうような状態になってます。


賞味のところ司法書士が作ってもパートの人が作っても出来上がる書類は同じになるでしょう。


実際、パートさんが作った書類を使って、司法書士という資格を利用して仕事をしている人はたくさんいると思います。


そして、もちろん一件あたりの事件で入る報酬はパートさんと比べると司法書士の方が高いです。ギャン高。


司法書士業に置いても上記記事と同じ構造のように、パートさんは同じことをしているのに不当に報酬が低い。とかんがえることも出来るように思えます。





・実際はどうでしょうか



さて、同じようにパートさんが搾取されて上が潤ってる、っていうような構造に見えます。


しかし、意外と知られてないというか、私も司法書士の勉強するまで知らなかったんですけど日本の法律では「不動産は名義を自分に変えなきゃ自分のものになったって言えない」ってものがあるんです。民法177条。


これって結構凄い規定で。


「プリン買ってきて冷蔵庫入れておいたら勝手に食べられた!」

って言うと、勝手に食べた方が悪いでしょう。



でも不動産で


「不動産買ってきて冷蔵庫に入れておいたら勝手に食べられた!」

っていう場合


「名前書いてないほうが悪いんだよ!」


って返されます。しかも


日本国「そうだ、そうだ!名前書いてないほうが悪い!」


って国単位で名前書いてないほうが悪い理論を貫き通してくるから、さぁ大変。




普通の常識とは違って不動産の名義変更ってそれだけ重要なことなんですね。



で、この状況でもし名義変更に失敗したらばどうなるでしょうか。はい、名義変更手続きを担当していた司法書士のせいです。


不動産価格そのまんま司法書士が弁償しなきゃいけない場合なんかもあってマジ危険。


一回で数万円手に入れられるけれど、失敗したら数百万から数千万円支払わなきゃいけないチャレンジ!!みたいな状態。




一回の取引で司法書士は数万円もらえます、パートのおばちゃんは数千円?時給換算ならもっと低いのかな?


でも、なんらかの失敗があったら司法書士は数千万円払わなきゃいけない可能性があって。パートのおばちゃんは「わざとやってるだろ!!!?!」って思えるほどのミスをしない限りは一銭も払わなくてOKです。


一回失敗したら数千万円払う必要がある人と失敗しても別に何もない人の給料は同じである方が平等だと思いますでしょうか。




・「作業」にお金を払う時代じゃない


冒頭の記事あるようにパートの人は「だれでもできる(代替できる)」事しかしていないわけで、そこに過大な価値はないわけです。


お金を払う方としては商品やサービスをもちろん買っているんですけれど、実質的な見方で言うと「価値」を買っている。


司法書士においては「知識」はもちろん、同等くらいに「責任」を求められていて、法的判断の適切さ及び、それが間違えていた場合の責任のとり方が価値です。


それを提供できるハズであると国から担保されているから資格というものがあるんです。


なのでパートの人にお願いして作って頂いている事と同じ「作業」をしていても、同じに見えて実質が違うんです。





・考えた上での判断を搾取とか言うの失礼じゃね?


リスクを取ってリターンを求める方法って色々ある。でもそれは誰にとってもの正解ではない。自身の生活や環境において判断して低リスクなパートを選んでいる。それはその人の判断だしその人の正解かもしれない。


そういう所を勘案するとパートの人が結果、手にする金額だけで「搾取されている」と断ずるのはオカシイと思う。


世の中では本当に搾取と呼べるような仕事もあることもありますが、単に報酬の多寡で搾取とか言うのはちょっとどうかと思った、ハイリスクローリターン中の私でありました。おやすみなさい。


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